【病態シリーズ】脳梗塞後のリハビリと看護ケア ~早期介入で“その人らしさ”を守る~

こんにちは。リハビリ病棟で勤務している看護師めめです。
今回は「脳梗塞後の患者さんへのリハビリと看護の関わり」について、症例を交えながらお話しします。


🧠 脳梗塞とは?

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流が止まることで神経細胞がダメージを受ける病気です。
発症後は、麻痺・嚥下障害・認知機能の低下・失語など、さまざまな後遺症が残る可能性があり、早期のリハビリ・ケアが生活再建の鍵になります。


🧓【症例】右中大脳動脈閉塞による左片麻痺の70代男性Dさん

🔹背景・既往歴

  • 高血圧・高脂血症あり
  • 独居で元は自立生活
  • 発症後、緊急入院→t-PA実施→急性期治療終了後に回復期リハ病棟へ転棟

🔹現在の状態

  • 左上下肢麻痺あり、歩行困難
  • 嚥下機能軽度低下(ミキサー食)
  • 短期記憶障害と軽度の失語症
  • ADL:全介助 → 徐々に一部介助へ移行中

🔍 看護師が意識したい観察ポイント

① 麻痺側の状態・活動の変化

  • 関節拘縮、筋緊張の左右差
  • 自己抜去・転倒のリスク
  • 自分の身体への無関心(半側空間無視

② 認知・情動の変化

  • 感情の起伏が激しくなる(感情失禁)
  • 指示理解や記憶力の低下
  • 「やる気がない」と見えがちな無関心(アパシー)

③ 嚥下・食事状況

  • 食事中のむせ・咳嗽
  • 食形態への拒否・疲労の様子
  • 食事中の集中力の低下

④ 排泄・更衣・清潔

  • トイレまでの移動方法・手順理解
  • 下着の上げ下げ動作ができるか
  • 皮膚トラブルや失禁への対応(褥瘡予防)

🤝 多職種連携での関わり方

👩‍⚕️ PT(理学療法士)

  • 起き上がり、立位、歩行の訓練
  • 看護師がベッド上での動作方法を統一して介助
  • 移乗・ポジショニング方法を相談して転倒予防

🧑‍🦲 OT(作業療法士)

  • 食事動作、更衣動作、トイレ動作などADL向上支援
  • 環境設定の工夫(手すりの設置、物の位置など)
  • 自助具の使用方法の確認・共有

👄 ST(言語聴覚士)

  • 嚥下評価(VFやVE)・言語機能の訓練
  • 食事時の姿勢や介助の工夫
  • コミュニケーション支援(意思表出手段の確保)

🧠 医師・ソーシャルワーカー

  • 退院支援に向けた情報共有(家族構成・居住環境)
  • 支援制度・介護保険の導入調整

👩‍⚕️ 看護師としての関わりのコツ

💬 その人の「できること」に着目

  • 「まだできない」ではなく「これならできる」を見つける
  • 成功体験を日々のケアで積み上げていく声かけが大切

⏳ 焦らず、でもタイミングは逃さない

  • 日々のバイタルや疲労感を見て、リハのタイミング調整
  • 朝の清潔ケアや排泄動作は“自然なリハビリの場”

✍️ 情報共有をこまめに

  • OT・PT・STとの記録や口頭での連携で“抜け”を防ぐ
  • 看護師からの気づきが、訓練内容のヒントになることも

🔚 まとめ

脳梗塞後のリハビリは、多職種連携×日常ケアの積み重ねがとても大切。
患者さんの「できる」を見つけ、「またできた!」と実感できる日々を支えるのが、看護の力です。
ご希望の内容があれば、ぜひコメントで教えてください😊

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